学園ニュース

学園ニュース 2019年11月号(235号)

【法人】

■◆■学校法人千葉明徳学園 理事長 福中 儀明■◆■

 学校法人千葉明徳学園は1925年に設立され、2025年に創立100周年を迎えます。
 100周年に向けて機運を高めるため、その10年前となる2015年から100周年記念事業講演会を開催し、毎年異なる分野の第一人者をお招きし、興味深いお話を伺っています。
 5回目となる今年は、漫画の分野を代表する浦沢直樹さんをお招きしました。漫画は、今や日本の代表的な文化、芸術であり、本学園の100周年記念講演会にふさわしいテーマであると考えます。では何故、たくさんいる漫画家の中から浦沢さんをお招きしたかというと、漫画界の巨匠・手塚治虫さんが30年前に亡くなり、現代漫画界で手塚さんを継ぐ巨匠というべき漫画家は、浦沢直樹さんしかいないと考えているからです。漫画を読むなら手塚治虫と浦沢直樹、他はいらないというのが私の結論であり、今回は真っ先に浦沢さんにラブコールを送り、それを浦沢さんに快諾頂き、実現に至りました。
 11月22日(金)、千葉明徳中学校・高等学校体育館で行われた浦沢さんの講演&ライブドローイングは圧巻の一言でした。講演では、浦沢さんのルーツが手塚さんの「火の鳥」、ボブ・ディランの音楽にあること、日本漫画の歴史が語られ、大変興味深く聴きました。また、ギター演奏、歌にあわせて、その世界観をイラストとして描く「ライブドローイング」には、全聴講者が酔いしれました。ただの白い紙が、浦沢さんの手にかかると一瞬にして超大作に仕上がる、その技にはとても感動しました。
 100周年記念事業として、100年後、1000年後に開けるタイムカプセルを埋める予定です。これには、本学園の資料や現在使用している教科書、未来への手紙等とともに、現代文化を代表するようなものも入れたいと考えているのですが、今日の講演を聴いて、見て、100年後に開けるタイムカプセルに、浦沢さんの著作である「20世紀少年」を入れようと思いました。



【浜野】

■◆■明徳浜野駅保育園 保育士 鈴木 友基■◆■

 11月16日(土)に第6回、めいとくのつどいと記念式典を行いました。
 今年は10周年ということで、つどいには卒園児だけでなく在園児も招待し、2部構成で行ないました。1部の在園児は、普段とは違った園内の雰囲気に「うわ~、すごーい!」と期待に胸を膨らませたり、少し戸惑いを見せたりしながらも、目をキラキラと輝かせていました。
 園歌を歌うといつもの調子を取り戻し、その後に上映された職員の制作・撮影・編集・演技と総出の渾身の自作映画「保育士探偵団」と「サザエさん」に部屋中が笑い声に包まれました。
 映画の他にもコーナー遊びを用意し、松ぼっくりを使ったクリスマスツリー作りでは、保護者の方と一緒にビーズや飾りをつけ、「お家に飾るー」と、世界に一つだけの作品の完成を親子で喜んでいる様子は微笑ましいものでした。バルーンアートでは保護者が悪戦苦闘しながらリボンや犬などの作品作りに挑戦する姿に、子ども達はワクワクした表情で「がんばれ~」と応援していました。中庭では、お友だちと一緒に、夢中になって大型オセロゲーム楽しむ姿が見られました。短い時間でしたが「楽しかったね」「来てよかったね」などなど、嬉しい言葉が聞こえてきました。
 第2部は例年と同様に卒退園児や退職した職員を招待し、3歳から中学生までの幅広い年代の子ども達が来てくれました。憩いの部屋では、ジュースを飲みながら、在園していた頃の『今日の出来事』を見たり、明徳おみくじを引いて記載してある職員と握手をして触れ合ったりして久しぶりの保育園の雰囲気を楽しんでいました。各コーナーで遊びながら久しぶりに会う職員やお友だちと思い出話に花を咲かせ、「高校生になっても、遊びにくるね♪」と、嬉しい言葉をもらいました。
 午後からの10周年記念式典には、本園と所縁のある方に参加して頂き、建築からの軌跡を追ったドキュメンタリー番組並みの職員作成のスライドショーに会場内は笑いあり涙ありの感動に包まれ、終始和やかな雰囲気の中で記念すべき1日は幕を閉じました。今日まで支えてくださったみなさん、本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



【やちまた】

■◆■明徳やちまたこども園 保育教諭 中野 康之■◆■

 11月13日(水)に3・4歳児合同の遠足で附属幼稚園に行きました。
遠足に行くのをとても楽しみにしていた子どもたちは、登園時から乗って行くバスがもう来ているのか確認するなどワクワクがとまらない様子でした。
【今回の遠足で子どもたちが楽しんでいたことを大きく分けると】
〇大きなバスに乗る 〇豊かな自然の中で遊ぶ 〇天文台へ行く 〇お弁当の時間の4点がありました。

〇大きなバスに乗る
   1週間前に5歳児がバスに乗り中央博物館へ遠足に行ったことで、その日から自分たちもバスに乗れることをとても楽しみにしていた子どもたち。実際にバスに乗り出発すると、嬉しい気持ちが抑えきれず、窓から見える景色の一つ一つに興奮しながらバスの時間を楽しんでいました。帰りのバスでは、遠足の楽しかった余韻に浸りながら夢の世界に誘われる子もたくさんいました。

〇豊かな自然の中で遊ぶ
 事前に附属幼稚園の環境を写真で見せていたことで、どんなところか想像をしていた子どもたちですが、実際に目の当たりにすると子ども達の想像以上の場であったようで、広さやたくさんの樹木に驚きを隠せずにいました。
 森の中へ入ると、低木のトンネルを抜けたり斜面に気を配りながら探索をしたり等、やちまたこども園では経験できないことを全身で味わうことができました。また、地面に落ちているドングリを見つけるたびに胸を躍らせながら、自分の袋にしまって大切に持ち帰る表情はとてもにこやかで嬉しさが十分に伝わってくるくらいでした。

〇天文台へ行く
 明徳中学校では、天文台へ上がらせてもらい間近にみる望遠鏡の大きさに驚く子どもたちでした。天井の開閉や左右に動く様子を見る際には、動くたびに「おぉ~!!」と目を丸くしながら、その様子をじっくりと見ていました。4歳児は、見るだけでなくコントローラーを使わせていただくこともでき、自分で操作するということに喜びを感じていました。普段はできない貴重な体験をたくさん味わうことができたことで、中学校から戻る際には子どもたち同士で感じたことを共感しあう姿がたくさんみられました。

〇お弁当の時間
 たくさん遊んだあとは待ちに待ったお弁当。お家の人が作ってくれたお弁当を見せ合ったりお弁当の中身を嬉しそうに教えてくれたりする子どもたち。楽しい時間を一緒に過ごした友だちと一緒に食べるお弁当の味はより一層美味しくなるようで、あちこちで「お弁当美味しい!!」という声が聞こえてきました。

 豊かな環境の中でたくさん遊ぶことで、楽しさをたっぷりと味わうことができましたが、それだけでなく木々の中に入る日の光の気持ちよさや落ち葉を踏み鳴らす音の心地よい響きなど五感を通しての気づきや感じることがたくさんある遠足となりとても充実した一日となりました。
 今回の遠足の当初の計画では、山武の森公園や泉自然公園などを予定していましたが、台風の影響により行先の変更が必要となる中で、理事長先生や附属幼稚園の先生方、中学高校の先生のご協力のもと、子どもたちにとってより良い体験をすることができました。本当にありがとうございました。



【幼稚園】

■◆■千葉明徳短期大学附属幼稚園保育教諭 中林 忍■◆■

 明徳幼稚園は“自然に恵まれて”います。だからと言って、それに頼りきってしまうことは良いことではありません。“恵まれた自然環境”だからこそ経験できることは何かを考え、そのために園環境を整えていく必要があります。本稿では、“園庭の砂や土、水とのかかわり”をご紹介します。
 当園の砂場は、場所によってサラサラした「川砂」とギュッと握ると固まりやすい「山砂」に分けてあります。感触も異なりますし、ままごとや山づくりひとつとっても遊び方が変わってきます。また、この他にも園庭の地面にある「土」は子どもの遊びのひとつになるため、基本的にはどこを掘ってもいいことになっています。
 8年程前に『園JOY』の活動として保護者の方に協力してもらい、園庭の土を掘り起こして「築山をつくる」ということを行いました。当時、お父さんたちの作業する姿を見ていた子たちは、できあがると、すぐに山に登り遊びました。その後、工事ごっこにもなり、見たものや経験したことを遊びの中でくり返し行い、自分のものにしていく姿がありました。この時できた「築山」や周辺の「堀」は、今も子どもたちに人気の遊び場です。
 なぜ「築山」「堀」が人気なのでしょうか…。雨が降ると堀に雨水が溜まり、板を対岸にかけ一本橋にして渡る時のドキドキ。渡らずにそこを跳び越えてみようとする時のワクワク。暑い夏は水・泥遊びができ、寒い冬には氷が張ります。季節や気候によって表情を変え、少しずつ形を変えながらも、常にそこにあるという安心感が子どもたちを惹きつけて、夢中にさせている理由なのかもしれません。
 子どもたちは、遊びの中で水や砂、土などにふれ、また、「米づくり」や「野菜づくり」でも直接自然にふれる体験をしています。これからの季節は、たき火をして、火の暖かさ便利さや怖さを知りながら、収穫した米や野菜を食すということも、恵まれた自然があるからこそ経験できることだと思います。
 当園庭では、ものをつくったり身体を動かしたり…と、さまざまな活動・経験ができる空間や場所を現在までに試行錯誤しながら変化させ、整備してきました。しかし、まだ子どもたちにとって最善の園庭環境ではないかもしれません。子どもたちの遊ぶ姿をみながら、これからも園庭の中で「人」や「自然」や「経験」がつながっていく環境をイメージして、職員だけでなく、子どもたちや保護者の方にも協力してもらいながら、変化していく園庭環境にしていきたいと考えています。



【中学校】

■◆■千葉明徳中学校教諭 村上 誠■◆■

 本校屋上の天体ドームにて行われる天体観望会も9年目を迎えました。
 今年度はあまり天候に恵まれず、振替実施が多く見られます。生徒の中には延期の連絡を受けて「楽しみにしてたのにー!」という声を発する様子も見られました。かくいう私自身も参加した天体観望会は、生憎の曇天でしたが、雲の切れ間から覗く土星やM15星雲に場が湧いていました。
 山本先生が星を探す間にしてくださった星の話に生徒・保護者ともに聞きいっていました。生徒たちにとっては貴重な体験となったのではないでしょうか。



【高校】

■◆■千葉明徳高等学校 教諭 遠藤 玲香■◆■

 11月5日から11月9日にかけて、マレーシア・シンガポールへの研修旅行に行ってきました。
 担任として初めての研修旅行の引率で、行き先が海外ということもあり、数日前から緊張した日々を過ごしました。
 初日、成田空港の集合場所で全員の姿を確認し、少しだけほっとしながら出国の手続きに進みました。その後、大きなトラブルもなく飛行機は飛び立ち、シンガポールのチャンギ国際空港に降り立ちました。
 2日目は、マレーシアで学校交流とホームビジットを行いました。学校交流では、何よりも現地生徒の人懐っこい笑顔が印象的で、初対面の日本の学生にも臆せず話しかけ、身振り手振りを交えて現地の遊びを教えてくれました。私も生徒に混じって遊びを教えてもらい、思わず熱中して楽しみました。例え言葉が通じなくても、喜びや楽しさを分かち合うことができると、あの場にいる誰もが実感したはずです。それは、本当に素晴らしい時間でした。ホームビジットは班別行動だったため、生徒一人ひとりの様子を見ることはできませんでしたが、バスに戻ってきた様子はとても満足げで、食事も美味しく頂いたようでした。
 3日目にはB&Sというシンガポール大学の学生が本校生徒を案内してくれるプログラムで、シンガポールの名所などを巡りました。夜には有名なマリーナ・ベイ・サンズの前で、プロジェクションマッピングを用いた噴水ショーを観賞しました。15分程度のショーですが、光と音の見事な演出で、想像以上に感動した生徒も多くいました。
 4日目はクラス別研修として、USS(ユニバーサル・スタジオ・シンガポール)へ向かいました。午前中はあいにくの雨で一部の行程を断念せざるを得ませんでしたが、USSに到着する頃には雨も上がり、生徒は思い思いに楽しむことができたようです。そして、研修旅行の締めくくりとして、夜には再びマリーナ・ベイ・サンズを訪れ、展望台からの夜景を楽しみました。シンガポールの街並みがだんだんと日暮れて、美しい夜景へ変わっていく様子は本当に素晴らしく、生徒も一生忘れない光景だと興奮していました。
 研修旅行中、「たとえ何があっても、生徒が元気で笑顔なら花丸」という思いで、生徒一人ひとりの姿を見守っていました。私の願いが通じたのか、幸い私のクラスを含め後発隊は体調不良者がほとんど出ず、全員がすべての行程に参加することができました。研修旅行を全力で楽しみ、たくさんの笑顔をくれた生徒たち、その活動を支えてくれた学年団の先生方、日本旅行の添乗員の方々、現地のガイドさんに心から感謝しています。この研修旅行が生徒自身にとってどのような意味のある出来事だったのか、きっとまだ本人たちは分かっていないでしょう。しかし、海外での研修旅行をクラスみんなで乗り越えたこと、異国の文化や人々に触れたこと、これらは生徒たちの自信となり、新しい興味関心の種を蒔いてくれました。一回り成長した彼らが、今度は自らの進路の実現に向けて歩み出せるように、これからもしっかりとサポートしていきたいです。



【本八幡】

■◆■明徳本八幡駅保育園 保育士 栁 真優■◆■

 昨年度の2歳児が家から持ってきていたリュックをキラキラの笑顔で背負う姿を見ていた1歳児。
 何をするのかまではわからないけれど2歳児の表情が明るいことから、“楽しそう”と、感じ取りすごしていた1年間。
 10月末から、交流会の準備をお願いしていると「どろんこ保育園に行くの?」と、表情がパッと明るくなる子ども。「リュック買ったの。ママにお金貰ったの。」と、自分でレジに持って行ったことを伝えたり「リュック持ってきたよ!」と、報告したり嬉しそうです。
 どろんこ保育園に入園した昨年度の卒園児が近くに来ました。同じグループだった子どもは覚えていたようで、何も言わずとも近くで遊ぶ様子がありました。在園児は泥の水たまりに躊躇なく入っていき、ジャブジャブと水を弾き飛ばして遊んでいました。
 泥のついた顔でも満面の笑みを見せていました。泥を団子にしたり、アイスのコーンの様な型抜き遊具の上に団子を乗せてアイスクリームに見立てたり、団子を別の子どもが触れ「ムミュムミュするよ!」と、感触を言葉にしたりしていました。お尻まで水につかると「パンツが気持ち悪いよ。」と、不快に感じたことも伝えていました。作ること、見て、触れて、感じることを泥遊びの中で繰り返し、さまざまな刺激を受ける機会となりました。
 帰り道、「○○ちゃんいたね。」「どろんこ楽しかった!」「また行こうね。」と、子ども同士で会話をしたり、保育者に話したりする姿がありました。保育園では異年齢との関わりの中で心の育ちを追っています。3歳児との関わりが2歳児にとってどのような影響を与え、変わっていくのか今後の姿が楽しみです!


【短大】

■◆■千葉明徳短期大学 教授 明石 現■◆■

 二年次の卒業演習・明石ゼミは手話合唱を軸とした「福祉の音プロジェクト」を活動の中心として、保育所や福祉施設等で学生によるコンサートを行なっています。
 そして、その活動のきっかけの一つに水俣病を世に知らしめた石牟礼道子氏の著書「苦海浄土」があり、その地を訪れ、関連地を巡るゼミ合宿をここ数年毎年行なっています。11月8日〜10日、一般財団法人水俣病センター・相思社さんにお世話になり、胎児性水俣病患者の方の講話等もお聞かせいただきました。「現代の社会はあれから良い方向に変わったのか」と自らに問うている学生の姿もあり、深い学びを得た3日間でした。
 水俣は大変静かな美しい場所です。今後も学生と共に考え続けたい問題であり、それを切り口に社会を考え、芸術の在りようを模索していきたいと考えています。



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