学園ニュース
学園ニュース 2021年6月号(252号)
【やちまた】

■◆■明徳やちまたこども園 保育教諭(4歳児担任) 小林 和子■◆■
自然と共にある保育を大切にしている本園は今年で開園7年目になります。
園のシンボルでもある大きな桜の木を中心に、四季折々の草花や木、花壇や畑などの沢山の植物が園庭を彩ってくれています。
3年前に植えたみかんの木は年々大きくなり、昨年は園児みんなが食べられるほどの実がなりました。みかんの花の香りも子ども達の五感にしみついて記憶され、小さな子でも木の場所がわかるようです。あえて手を入れていない、フェンス際の草むらや肥沃な土の中には虫や鳥が集まってきます。古い切り株の木の下は虫探しをする子にとってはわくわくドキドキの場所です。木を持ち上げ、虫を発見したときの喜びの声はまさに「歓声」です。今年も連日バケツとシャベルを持ってミミズや幼虫探しをする子ども達の姿が見られます。今は飼育をするわけではなく、とにかく「数」が大事な様です。「こっちに来て!来て!」「いたよ!見て!」と見つけると友達同士教えあったり、誰かに伝えたくて感嘆符の連続です。まさに毎日がセンスオブワンダーです。
押し付けではなく、意図的、無意図的に整えた環境の中で子ども達が「いのち」あるものに触れ、感動を友達や保育者と共有する。そんな中で「いのち」の尊さや儚さに気づいたり、観察・触れ・図鑑で調べたりするなど様々な学びにつながる経験をしている子ども達です。
そして、頭上には今年豊作の梅の実がたわわに実っています。ここ2、3年「梅ジュース」作りが恒例になり、子ども達の「梅しごと」の一つとなっています。収穫した実のヘタを慣れた手つきで竹串で取り、梅ジュースにします。宝石のような角砂糖と一緒に漬け、飲めるようになるのは1か月後です。販売機で買うジュースのようにすぐには飲めませんが、瓶の中で変化する梅の様子を見ながらその日を楽しみに待ちます。今年は七夕のころになりそうです。
畑では夏野菜が実をつけ始めました。苗を植えたからといってすぐには食べられるわけではなく、水をあげたり雑草を抜いたりの世話をして食べごろの「旬」の時期を待ちます。喜びや楽しさだけでなく、自分の思い通りにはならないことなど、園庭の自然は人とのかかわりや心の安定につながる基礎も培ってくれているように思います。物が豊富で便利な現代。本当の「豊かさ」とは何かを追求しながら物資では得られない多様な体験を、この園庭と共に子ども達と一緒に楽しみたいと思います。
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【浜野】

■◆■明徳浜野駅保育園 保育士 南波佐間 紀子■◆■
毎年5月になるとさくら組(3歳以上児)では、子ども達と「蚕」を育て始めます。
大切に育てた蚕の繭を使って、卒園児が卒園式で胸につけるコサージュを、保護者の方に手作りしていただく事が毎年の恒例となっています。保育園での思い出を振り返りながら作るコサージュは、保護者の方の思いがたくさん込められており、卒園式当日の子ども達をより一層輝かせてくれています。
園長が小学校の卒園式に出席した際、卒園児の保護者がそのコサージュをつけている姿を見て、6年間大切にしていてくれたことが嬉しく、感動が込み上げてきたという話を聞かせてくださったことがあります。
そんな大切な役割のある「蚕の飼育」。今年初めてさくら組の担任になった私の、チャレンジ開始となったのですが…実はゲジゲジや芋虫など、足がたくさんあり、「ウニョウニョ」と動く生き物が苦手なのです。事前に周りの先生方からは「毎日見てれば可愛いと思えるんだよ」と言われていたのですが、当初はたくさんの蚕が「ウニョウニョ」と動く姿に、子ども達が「可愛いね」「小さいね」と喜んでいる横で、「そうだね」と言いながら実は鳥肌が立っていたのを覚えています。
数日後、子ども達には正直に、苦手なことを打ち明けました。すると、飼育経験のある年中、年長児からは「大丈夫だよ!私がご飯あげるから」「僕、触れるからお掃除するよ!」と頼りになる声が聞かれる反面、「実は僕も苦手で触れない」と、いつもはしっかり者でスポーツ万能な年長児のSくんが打ち明けてくれました。どうやら保育者の私が「苦手だ!」と宣言したことで、自分の気持ちが話しやすくなったようです。これをきっかけに子ども達と、「誰にでも苦手な事はあること」「あきらめずにチャレンジしてみることが大切」ということを話し合いました。そして、「今年の年長児の卒園式で素敵なコサージュをつけてもらうために先生も蚕さんと仲良くなる!」と気持ちを伝えると子ども達も応援してくれました。
そろそろ蚕との生活も一ヶ月半が経とうとしています。毎日、桑の葉のご飯をあげたり、お部屋の掃除をすることで、少しずつですが可愛いと思えるようになってきました。初めて脱皮した時には子ども達と「大きくなろうとしてるんだね!」「蚕さん頑張ってるね」と大喜びしました。
私はまだ自分で触ることはできませんが、子ども達が私の手のひらに蚕を乗せてくれ、「先生!5秒そのままね!」などと言いながら私の苦手克服に協力してくれています。蚕の飼育を通して、子どもたちとの関係性をより一層深めることができたと思います。今後も「保育者だから…」と力みすぎず、子どもたちと自然体で関わって、一緒にたくさんの事にチャレンジしていきます。
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【短大】

■◆■千葉明徳短期大学 准教授 池谷 潤子■◆■
1年生の「保育内容演習」は、短大が大切にしている「体験から学ぶ」という考えを体現し、附属幼稚園を含め県内11の私立幼稚園の協力を得て年間を通じて月1回の実習を行う教育実習Ⅰと連動して行われる授業です。
今年は、5月から半日保育体験、6月から教育実習をスタートさせました。この授業では、学生が実習で感じたことや体験したことを自分なりの考察を含めて丁寧にレポートに書き、そのレポートをテキストとして1グループ約20人の学生と教員で読み合い、話し合い、ふりかえりを行います。この実習と並行して保育の専門知識を学ぶことで、「体験する」「子どもの遊びや生活をレポートに書く」「レポートの読み合い、話し合いによるふりかえり」「専門知識による学び」という「循環する学びの構造」ができあがります。 このように現場での体験をもとに学んでいくアクティブラーニングを入学直後から始めることで、自分が実習で出会った子どもの姿を思い浮かべながら、講義・演習科目を学ぶことができます。また、同じ遊びの場面を見ていたとしても、人によって気づきや考察は異なりますので、他者の視点や思考から学ぶという、共に学ぶ友人、実習先の園長先生、担任保育者、担当教員の考察など、様々な人との関わりや話し合いのなかでより深い気づきを得て、学びを深めていきます。 グループでのふりかえりの際に大切にしていることは、子どもの気持ちや背景にある状況を想像し、様々な援助の可能性を考えていくことです。学生が書いたエピソードについて、20名で様々な角度から考察、解釈をして、子どもの発見や思いに共感し、没頭して遊んでいる姿から何を楽しんでいるのか、興味・関心を持っているのかを考えていきます。ここでの目的は正解を見つけることではなく、1人の子どもを理解することから、徐々に集団としての子どもたちの姿に目を向け、保育における遊びと生活について考えていくことです。
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【本八幡】

■◆■明徳本八幡駅保育園 保育士 設楽 裕子■◆■
公園に出かけることが難しい日々が続く中、子どもたちが園にある砂場で砂に触れ、遊びが広がるようにとの思いから、今まで使っていた砂を見直しました。
どんな砂がよいか?を調べ、実際に手で触れ、子どもたちにどんなことをさせたいのかなど、話し合いを重ねて選びました。海の砂のような感じで、湿っていると、ぎゅっと固まり、乾くとサラサラになります。 型抜きも崩れずに写真のように形を作りやすく、子どもたちもお皿にのせたり、砂場に作ったりして見立て遊びを楽しんでいます。水分を多く含んだ砂が、手元から“ポタン”と落ちた音でわくわくスイッチが入り、何度も落としその様子を楽しむ姿もあり、子どもたちの無限に広がる発想力・探求心に出会え嬉しくなります。
砂に触れる楽しさとリスクについても意見を出し合い、保護者の方も砂に触ってもらうコーナーを作りました。“こんなことがあります”を共有しながら、私たちの思いに気付いてもらうきっかけにもなっています。
「懐かしいなぁ」と幼少時代を思い出す⁉声や「こんな風に先生たちが考えてくれているんですね」「砂場セットを買いました」という嬉しい声も聞こえてきました。
これからも、親子での会話・あそびに繋がっていけるようにわくわくを共有していきたいです。
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【幼稚園】

■◆■千葉明徳短期大学附属幼稚園 保育教諭 藍 柚佳■◆■
年少すみれ組の担任になり2ヶ月が経ちました。
昨年はケロちゃんルームで預かり保育を担当しており、担任をもつことは今回が初めてで、緊張や不安が多々ありますが、一方で大変楽しみでもありました。学生の頃は担任をもち、子どもたちと遊んで楽しく過ごしたいと夢を描いていました。4月から実際に保育が始まり、分からないことも多いですが、子どもたちとの毎日を無我夢中で過ごしています。
そのような中で、周りの先生方に声をかけていただき「一年目の先生には一年目の先生なりの良さがある。柚佳先生の初めてと子どもたちの初めてはお互い共感しあえる共通点ですよ。」と教えていただきました。私は自分の良さを生かしながら、自分にしかできないことを取り組み、子どもたちのためにどのようなことをするべきか考えていこうと思っています。また、同じ学年の先生方はもちろん、他学年の先生方とも意見交換を行い、保育者としての多様な視点を学び、成長していきたいと思います。
子どもたちと一緒に新しい環境に一歩足を踏み入れた今、子どもたちの気持ちに寄り添い、楽しく、笑顔の絶えない毎日を送るために、そして、大好きな子どもたちと共に成長できる充実した一年にするために、より一層努力してまいります。これからも多くの壁にあたると思いますが、千葉明徳学園の一員としての自覚をもち、力を尽くしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
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【高校】

■◆■千葉明徳高等学校 教諭(特別進学コース長) 黒木 和久■◆■
諸先生方のご指導をいただきながら、これまで卒業生を3回出すことができました。
最初の卒業生は社会人となり、2回目の卒業生も大学4年生を迎えています。時々卒業生から届く連絡に接し、うれしい気持ちを抱く一方で、当時と現在の自分を比べております。
今年度から担任を離れ、特別進学コース長として特進コースの3学年全体を見ていく立場となりました。当初は「まだ担任をやりたい」「もう1度、大学入試に生徒と共にチャレンジしたい」という気持ちが強かったのですが、先輩の先生方からの助言もあり、現在は「特別進学コース全119名のために」という気持ちに切り替わり、日々生徒たちと接しています。最近では、朝学習の時間に各教室の様子を見て回ったり、放課後や休日の自習室での生徒の取り組みを見守ることが1つの楽しみでもあります。
また、最前線から一歩引いた立場となる中で、担任の仕事は様々な方々の連携と協力により成り立っていることに気が付くことができました。例えば、春の勉強特訓会を実施するにあたり、企画の立案、会場とのやり取り、先生方や生徒への連絡、当日の運営など、たくさんの方々の協力で実施することができました。そして、当日の先生方の奮闘ぶりや生徒の充実した様子を目の当たりにし、昨年度までより一層、責任感と充実感を感じているところです。
他方、コース長として放課後は塾訪問に回っております。昨年度は一部の地域しか回ることができませんでしたが、今年度は在籍する生徒を送り出していただいた塾や今後生徒募集を強化したい地域を中心に、これまで200以上の塾を訪問してきました。その中で、送っていただいた生徒の様子を話した際の各塾の教室長の喜ぶ顔を見ると私もうれしくなる一方、逆に厳しいご意見を頂くことで気づかされることもあり、今後もより深い関係を築いていきたいと思っております。
昨年度は担任業務と兼任していましたので、コース長としては2年目となりますが、これらの様々な活動を通じて今、心に最も強く思うことがあります。それは、3月1日の卒業式の日を、生徒と保護者はもちろんのこと、担任と副担任の先生にも笑顔で迎えていただきたいということです。そのために、日々の生徒の変化を見逃さず、先生方とのコミュニケーションを大切に、保護者の方の信頼を得ながら、来年度20年目を迎える特別進学コースのさらなる発展につなげていきたいと思います。
最後になりましたが、これからも諸先生方のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
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【高校】

■◆■千葉明徳高等学校 教諭(1学年副主任) 石崎 小枝子■◆■
入学式から早くも3ヶ月が経とうとしている。この間は私にとって、慣れない副主任としての日々でもある。
今まで担任が長かった。振り返ると、担任ではなかった時が数えられるくらい。常に生徒を前にして気負い、責任を果たすことで精一杯。そのため学年の中では、ただの一員であり受け身であった。
しかし、今年は立場が変わった。学年の先生方、生徒たちに対してどう関わればよいのか。そして学年主任の本多先生に対して私などで役に立てるのか。最初は戸惑いが多かった。本多先生は初めてでありながら、熱意、実行力を持って生き生きと学年の先頭に立っていらっしゃる。学年団、生徒からの信頼も厚い。そのような姿を前に、何も武器のない私にできることは何か。
改めて思うに、私が担任を務めてこられたのも、それぞれの学年主任、副主任のおかげである。生徒のことで相談にのっていただいたり、また保護者との面談に同席していただいたり。とても頼もしく感じていた。副主任とは学年の責任ある立場として学年主任と共に学年団を支え、時として担任にアドバイスしながらも学年の生徒一人ひとりのために関わっていく立場ということだろうか。これからは自分がそのような立場になって関わっていくことの責任を痛感する。
和やかで仲の良い学年にしたいという思いは学年主任と一致している。学年の先生同士の関係が良好だと生徒も落ち着いた生活を送れる。そう信じて、これからも安心して生徒に関わっていける環境作りに専念し、学年主任また学年の先生方を支える側に徹していきたい。
今日も熱意を持ってひたすら真っ直ぐに生徒に向き合う担任の先生方の姿がある。なんとも清々しい。どんな体験も担任冥利につきるものである。ずっと応援していくつもりである。
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【中学校】

■◆■千葉明徳中学校 教諭 林 直樹■◆■
現在、中学3年生は、総合学習の時間に「課題研究論文」の完成に向けたゼミ活動に取り組んでいます。
ゼミ活動は、週に2回行われ、1回目は週末に行う「進捗報告会」に向けて、ゼミ内の教員や生徒との相談の時間に充てております。一方で、週末に行う「進捗報告会」は、その運営も生徒の中から選ばれた「ゼミ長」が司会進行を行い、1人につき持ち時間5分程度を設定し、発表3分・質疑応答2分という枠組みの中で1週間の研究成果を報告していきます。各学期に1回程度、全くゼミメンバーを変えた発表会も行いました。
こうしたゼミ活動は、今年度の5月のゴールデンウィーク明けから始まりました。そこに至るまで生徒たちは各自の論文テーマの設定に苦労しました。この「課題研究論文」に向けた準備は、中2の文化祭終了後から進めてきたのですが、最初は論文を書くとはどういうことかを理解するのも覚束ない状況でした。最終的に、中2の年度末に一旦、仮テーマを設定する段階になりましたが、そのテーマを見ると、まだまだ「調べ学習」の域に留まるものが多く、これをどうしたら「自分ごと」にできるか、4月から問い直しをしました。そこからテーマを身近な地域の問題にしたり、単に問題の原因を探るだけでなく解決策を考えたりすることをテーマにした生徒が多くなり、5月半ばのゼミ活動始動につなげることができました。
現在は、このゼミ活動を通じて、9月半ばの中間報告に向けた準備を進めているところです。中間発表は、中3・高1の中高一貫コース「磨き課程」の一大イベントとして、中3だけでなく高1の先輩、中1・中2の後輩たちからもフィードバックをもらえる貴重な機会としたいと考えております。ついつい常の研究活動の中で忘れがちな、自分はこの研究を通じて何を解決したいのかを再確認できる機会としたいと考えています。
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■◆■明徳やちまたこども園 保育教諭(4歳児担任) 小林 和子■◆■
自然と共にある保育を大切にしている本園は今年で開園7年目になります。
園のシンボルでもある大きな桜の木を中心に、四季折々の草花や木、花壇や畑などの沢山の植物が園庭を彩ってくれています。
3年前に植えたみかんの木は年々大きくなり、昨年は園児みんなが食べられるほどの実がなりました。みかんの花の香りも子ども達の五感にしみついて記憶され、小さな子でも木の場所がわかるようです。あえて手を入れていない、フェンス際の草むらや肥沃な土の中には虫や鳥が集まってきます。古い切り株の木の下は虫探しをする子にとってはわくわくドキドキの場所です。木を持ち上げ、虫を発見したときの喜びの声はまさに「歓声」です。今年も連日バケツとシャベルを持ってミミズや幼虫探しをする子ども達の姿が見られます。今は飼育をするわけではなく、とにかく「数」が大事な様です。「こっちに来て!来て!」「いたよ!見て!」と見つけると友達同士教えあったり、誰かに伝えたくて感嘆符の連続です。まさに毎日がセンスオブワンダーです。
押し付けではなく、意図的、無意図的に整えた環境の中で子ども達が「いのち」あるものに触れ、感動を友達や保育者と共有する。そんな中で「いのち」の尊さや儚さに気づいたり、観察・触れ・図鑑で調べたりするなど様々な学びにつながる経験をしている子ども達です。
そして、頭上には今年豊作の梅の実がたわわに実っています。ここ2、3年「梅ジュース」作りが恒例になり、子ども達の「梅しごと」の一つとなっています。収穫した実のヘタを慣れた手つきで竹串で取り、梅ジュースにします。宝石のような角砂糖と一緒に漬け、飲めるようになるのは1か月後です。販売機で買うジュースのようにすぐには飲めませんが、瓶の中で変化する梅の様子を見ながらその日を楽しみに待ちます。今年は七夕のころになりそうです。
畑では夏野菜が実をつけ始めました。苗を植えたからといってすぐには食べられるわけではなく、水をあげたり雑草を抜いたりの世話をして食べごろの「旬」の時期を待ちます。喜びや楽しさだけでなく、自分の思い通りにはならないことなど、園庭の自然は人とのかかわりや心の安定につながる基礎も培ってくれているように思います。物が豊富で便利な現代。本当の「豊かさ」とは何かを追求しながら物資では得られない多様な体験を、この園庭と共に子ども達と一緒に楽しみたいと思います。

【浜野】

■◆■明徳浜野駅保育園 保育士 南波佐間 紀子■◆■
毎年5月になるとさくら組(3歳以上児)では、子ども達と「蚕」を育て始めます。
大切に育てた蚕の繭を使って、卒園児が卒園式で胸につけるコサージュを、保護者の方に手作りしていただく事が毎年の恒例となっています。保育園での思い出を振り返りながら作るコサージュは、保護者の方の思いがたくさん込められており、卒園式当日の子ども達をより一層輝かせてくれています。
園長が小学校の卒園式に出席した際、卒園児の保護者がそのコサージュをつけている姿を見て、6年間大切にしていてくれたことが嬉しく、感動が込み上げてきたという話を聞かせてくださったことがあります。
そんな大切な役割のある「蚕の飼育」。今年初めてさくら組の担任になった私の、チャレンジ開始となったのですが…実はゲジゲジや芋虫など、足がたくさんあり、「ウニョウニョ」と動く生き物が苦手なのです。事前に周りの先生方からは「毎日見てれば可愛いと思えるんだよ」と言われていたのですが、当初はたくさんの蚕が「ウニョウニョ」と動く姿に、子ども達が「可愛いね」「小さいね」と喜んでいる横で、「そうだね」と言いながら実は鳥肌が立っていたのを覚えています。
数日後、子ども達には正直に、苦手なことを打ち明けました。すると、飼育経験のある年中、年長児からは「大丈夫だよ!私がご飯あげるから」「僕、触れるからお掃除するよ!」と頼りになる声が聞かれる反面、「実は僕も苦手で触れない」と、いつもはしっかり者でスポーツ万能な年長児のSくんが打ち明けてくれました。どうやら保育者の私が「苦手だ!」と宣言したことで、自分の気持ちが話しやすくなったようです。これをきっかけに子ども達と、「誰にでも苦手な事はあること」「あきらめずにチャレンジしてみることが大切」ということを話し合いました。そして、「今年の年長児の卒園式で素敵なコサージュをつけてもらうために先生も蚕さんと仲良くなる!」と気持ちを伝えると子ども達も応援してくれました。
そろそろ蚕との生活も一ヶ月半が経とうとしています。毎日、桑の葉のご飯をあげたり、お部屋の掃除をすることで、少しずつですが可愛いと思えるようになってきました。初めて脱皮した時には子ども達と「大きくなろうとしてるんだね!」「蚕さん頑張ってるね」と大喜びしました。
私はまだ自分で触ることはできませんが、子ども達が私の手のひらに蚕を乗せてくれ、「先生!5秒そのままね!」などと言いながら私の苦手克服に協力してくれています。蚕の飼育を通して、子どもたちとの関係性をより一層深めることができたと思います。今後も「保育者だから…」と力みすぎず、子どもたちと自然体で関わって、一緒にたくさんの事にチャレンジしていきます。

【短大】

■◆■千葉明徳短期大学 准教授 池谷 潤子■◆■
1年生の「保育内容演習」は、短大が大切にしている「体験から学ぶ」という考えを体現し、附属幼稚園を含め県内11の私立幼稚園の協力を得て年間を通じて月1回の実習を行う教育実習Ⅰと連動して行われる授業です。
今年は、5月から半日保育体験、6月から教育実習をスタートさせました。この授業では、学生が実習で感じたことや体験したことを自分なりの考察を含めて丁寧にレポートに書き、そのレポートをテキストとして1グループ約20人の学生と教員で読み合い、話し合い、ふりかえりを行います。この実習と並行して保育の専門知識を学ぶことで、「体験する」「子どもの遊びや生活をレポートに書く」「レポートの読み合い、話し合いによるふりかえり」「専門知識による学び」という「循環する学びの構造」ができあがります。 このように現場での体験をもとに学んでいくアクティブラーニングを入学直後から始めることで、自分が実習で出会った子どもの姿を思い浮かべながら、講義・演習科目を学ぶことができます。また、同じ遊びの場面を見ていたとしても、人によって気づきや考察は異なりますので、他者の視点や思考から学ぶという、共に学ぶ友人、実習先の園長先生、担任保育者、担当教員の考察など、様々な人との関わりや話し合いのなかでより深い気づきを得て、学びを深めていきます。 グループでのふりかえりの際に大切にしていることは、子どもの気持ちや背景にある状況を想像し、様々な援助の可能性を考えていくことです。学生が書いたエピソードについて、20名で様々な角度から考察、解釈をして、子どもの発見や思いに共感し、没頭して遊んでいる姿から何を楽しんでいるのか、興味・関心を持っているのかを考えていきます。ここでの目的は正解を見つけることではなく、1人の子どもを理解することから、徐々に集団としての子どもたちの姿に目を向け、保育における遊びと生活について考えていくことです。

【本八幡】

■◆■明徳本八幡駅保育園 保育士 設楽 裕子■◆■
公園に出かけることが難しい日々が続く中、子どもたちが園にある砂場で砂に触れ、遊びが広がるようにとの思いから、今まで使っていた砂を見直しました。
どんな砂がよいか?を調べ、実際に手で触れ、子どもたちにどんなことをさせたいのかなど、話し合いを重ねて選びました。海の砂のような感じで、湿っていると、ぎゅっと固まり、乾くとサラサラになります。 型抜きも崩れずに写真のように形を作りやすく、子どもたちもお皿にのせたり、砂場に作ったりして見立て遊びを楽しんでいます。水分を多く含んだ砂が、手元から“ポタン”と落ちた音でわくわくスイッチが入り、何度も落としその様子を楽しむ姿もあり、子どもたちの無限に広がる発想力・探求心に出会え嬉しくなります。
砂に触れる楽しさとリスクについても意見を出し合い、保護者の方も砂に触ってもらうコーナーを作りました。“こんなことがあります”を共有しながら、私たちの思いに気付いてもらうきっかけにもなっています。
「懐かしいなぁ」と幼少時代を思い出す⁉声や「こんな風に先生たちが考えてくれているんですね」「砂場セットを買いました」という嬉しい声も聞こえてきました。
これからも、親子での会話・あそびに繋がっていけるようにわくわくを共有していきたいです。

【幼稚園】

■◆■千葉明徳短期大学附属幼稚園 保育教諭 藍 柚佳■◆■
年少すみれ組の担任になり2ヶ月が経ちました。
昨年はケロちゃんルームで預かり保育を担当しており、担任をもつことは今回が初めてで、緊張や不安が多々ありますが、一方で大変楽しみでもありました。学生の頃は担任をもち、子どもたちと遊んで楽しく過ごしたいと夢を描いていました。4月から実際に保育が始まり、分からないことも多いですが、子どもたちとの毎日を無我夢中で過ごしています。
そのような中で、周りの先生方に声をかけていただき「一年目の先生には一年目の先生なりの良さがある。柚佳先生の初めてと子どもたちの初めてはお互い共感しあえる共通点ですよ。」と教えていただきました。私は自分の良さを生かしながら、自分にしかできないことを取り組み、子どもたちのためにどのようなことをするべきか考えていこうと思っています。また、同じ学年の先生方はもちろん、他学年の先生方とも意見交換を行い、保育者としての多様な視点を学び、成長していきたいと思います。
子どもたちと一緒に新しい環境に一歩足を踏み入れた今、子どもたちの気持ちに寄り添い、楽しく、笑顔の絶えない毎日を送るために、そして、大好きな子どもたちと共に成長できる充実した一年にするために、より一層努力してまいります。これからも多くの壁にあたると思いますが、千葉明徳学園の一員としての自覚をもち、力を尽くしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

【高校】

■◆■千葉明徳高等学校 教諭(特別進学コース長) 黒木 和久■◆■
諸先生方のご指導をいただきながら、これまで卒業生を3回出すことができました。
最初の卒業生は社会人となり、2回目の卒業生も大学4年生を迎えています。時々卒業生から届く連絡に接し、うれしい気持ちを抱く一方で、当時と現在の自分を比べております。
今年度から担任を離れ、特別進学コース長として特進コースの3学年全体を見ていく立場となりました。当初は「まだ担任をやりたい」「もう1度、大学入試に生徒と共にチャレンジしたい」という気持ちが強かったのですが、先輩の先生方からの助言もあり、現在は「特別進学コース全119名のために」という気持ちに切り替わり、日々生徒たちと接しています。最近では、朝学習の時間に各教室の様子を見て回ったり、放課後や休日の自習室での生徒の取り組みを見守ることが1つの楽しみでもあります。
また、最前線から一歩引いた立場となる中で、担任の仕事は様々な方々の連携と協力により成り立っていることに気が付くことができました。例えば、春の勉強特訓会を実施するにあたり、企画の立案、会場とのやり取り、先生方や生徒への連絡、当日の運営など、たくさんの方々の協力で実施することができました。そして、当日の先生方の奮闘ぶりや生徒の充実した様子を目の当たりにし、昨年度までより一層、責任感と充実感を感じているところです。
他方、コース長として放課後は塾訪問に回っております。昨年度は一部の地域しか回ることができませんでしたが、今年度は在籍する生徒を送り出していただいた塾や今後生徒募集を強化したい地域を中心に、これまで200以上の塾を訪問してきました。その中で、送っていただいた生徒の様子を話した際の各塾の教室長の喜ぶ顔を見ると私もうれしくなる一方、逆に厳しいご意見を頂くことで気づかされることもあり、今後もより深い関係を築いていきたいと思っております。
昨年度は担任業務と兼任していましたので、コース長としては2年目となりますが、これらの様々な活動を通じて今、心に最も強く思うことがあります。それは、3月1日の卒業式の日を、生徒と保護者はもちろんのこと、担任と副担任の先生にも笑顔で迎えていただきたいということです。そのために、日々の生徒の変化を見逃さず、先生方とのコミュニケーションを大切に、保護者の方の信頼を得ながら、来年度20年目を迎える特別進学コースのさらなる発展につなげていきたいと思います。
最後になりましたが、これからも諸先生方のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
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【高校】

■◆■千葉明徳高等学校 教諭(1学年副主任) 石崎 小枝子■◆■
入学式から早くも3ヶ月が経とうとしている。この間は私にとって、慣れない副主任としての日々でもある。
今まで担任が長かった。振り返ると、担任ではなかった時が数えられるくらい。常に生徒を前にして気負い、責任を果たすことで精一杯。そのため学年の中では、ただの一員であり受け身であった。
しかし、今年は立場が変わった。学年の先生方、生徒たちに対してどう関わればよいのか。そして学年主任の本多先生に対して私などで役に立てるのか。最初は戸惑いが多かった。本多先生は初めてでありながら、熱意、実行力を持って生き生きと学年の先頭に立っていらっしゃる。学年団、生徒からの信頼も厚い。そのような姿を前に、何も武器のない私にできることは何か。
改めて思うに、私が担任を務めてこられたのも、それぞれの学年主任、副主任のおかげである。生徒のことで相談にのっていただいたり、また保護者との面談に同席していただいたり。とても頼もしく感じていた。副主任とは学年の責任ある立場として学年主任と共に学年団を支え、時として担任にアドバイスしながらも学年の生徒一人ひとりのために関わっていく立場ということだろうか。これからは自分がそのような立場になって関わっていくことの責任を痛感する。
和やかで仲の良い学年にしたいという思いは学年主任と一致している。学年の先生同士の関係が良好だと生徒も落ち着いた生活を送れる。そう信じて、これからも安心して生徒に関わっていける環境作りに専念し、学年主任また学年の先生方を支える側に徹していきたい。
今日も熱意を持ってひたすら真っ直ぐに生徒に向き合う担任の先生方の姿がある。なんとも清々しい。どんな体験も担任冥利につきるものである。ずっと応援していくつもりである。
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【中学校】

■◆■千葉明徳中学校 教諭 林 直樹■◆■
現在、中学3年生は、総合学習の時間に「課題研究論文」の完成に向けたゼミ活動に取り組んでいます。
ゼミ活動は、週に2回行われ、1回目は週末に行う「進捗報告会」に向けて、ゼミ内の教員や生徒との相談の時間に充てております。一方で、週末に行う「進捗報告会」は、その運営も生徒の中から選ばれた「ゼミ長」が司会進行を行い、1人につき持ち時間5分程度を設定し、発表3分・質疑応答2分という枠組みの中で1週間の研究成果を報告していきます。各学期に1回程度、全くゼミメンバーを変えた発表会も行いました。
こうしたゼミ活動は、今年度の5月のゴールデンウィーク明けから始まりました。そこに至るまで生徒たちは各自の論文テーマの設定に苦労しました。この「課題研究論文」に向けた準備は、中2の文化祭終了後から進めてきたのですが、最初は論文を書くとはどういうことかを理解するのも覚束ない状況でした。最終的に、中2の年度末に一旦、仮テーマを設定する段階になりましたが、そのテーマを見ると、まだまだ「調べ学習」の域に留まるものが多く、これをどうしたら「自分ごと」にできるか、4月から問い直しをしました。そこからテーマを身近な地域の問題にしたり、単に問題の原因を探るだけでなく解決策を考えたりすることをテーマにした生徒が多くなり、5月半ばのゼミ活動始動につなげることができました。
現在は、このゼミ活動を通じて、9月半ばの中間報告に向けた準備を進めているところです。中間発表は、中3・高1の中高一貫コース「磨き課程」の一大イベントとして、中3だけでなく高1の先輩、中1・中2の後輩たちからもフィードバックをもらえる貴重な機会としたいと考えております。ついつい常の研究活動の中で忘れがちな、自分はこの研究を通じて何を解決したいのかを再確認できる機会としたいと考えています。
