千葉明徳短期大学は、昭和45年(1970年)に幼児教育者の養成を目的として、学校法人千葉明徳学園によって開設されました(開学時は、幼稚園教諭免許のみ取得可能でしたが、昭和47年度からは保育士資格も取得可能となりました。)。これに先立ち、学園としては大正14年に千葉淑徳高等女学校(昭和22年に新制の千葉明徳高等学校となり、現在に至る)を、また、昭和42年に千葉明徳学園幼稚園(現千葉明徳短期大学附属幼稚園)を開設しています。そして、平成15年には付帯事業として、明徳本八幡駅保育園を開設しています。
現在、学校法人及びその開設するすべての学校、施設の名称に「明徳」が冠されていますが、最初に「明徳」の名称が用いられたのは、千葉淑徳高等女学校が新制の千葉明徳高等学校に移行したときで、その後、昭和26年の財団法人から学校法人への移行に際し、法人の名称も「千葉明徳学園」とされました。現在、学園全体の教育を貫く建学の精神というべきものは、この「明徳」の言葉に込められています。
この「明徳」という言葉は、中国の古典「大学」の「大学之道、在明明徳、在新民、在止於至善」(大学の道は、明徳を明らかにするにあり、民を新たにするにあり、至善にとどまるにあり。)に由来します。大意は、「大学」つまり、社会の指導的立場にある者が修めるべき、実利のための学問ではない、世のため、人のための学問の道とは、「明徳」すなわち、人間が生まれながらに持っているはずの優れた性質つまり人間性を引き出して輝かせ、それによって周囲の人々をも感化し、その最高に徳性を輝かせた状態から離れないことにある、というものです。
この「明徳」に込められた本学の建学の理念とは、実利の学としての小学に止まらず、自らの徳性を輝かせるべく大学の道を求め、社会に貢献していく有為の人材を育成することにあります。また、「大学」においては、「明徳」を明らかにするには、究極的には、「先致其知」(先ずその知を致す)、つまり社会の物事をすべて誤りなく把握することができるように自らの知性を極めることが必要であるとされています。磨き上げられた鏡のごとく、あらゆる物事を誤りなく捉えることのできる知性、それは同時に己の姿をも誤りなく写し、その心と行いを正しく保つことを可能にします。自らの人間性、徳性を輝かせるために、自らを厳しく律し、その知性を曇りなく磨き上げていくことも当然に、本学の精神の内容をなすものなのです。
さて、この建学の精神を示す「明徳」の名称は、昭和22年に千葉明徳高等学校の校名に最初に使われた旨を述べましたが、千葉淑徳高等女学校以来、本学園の開設するすべての学校の校章には、八咫鏡が用いられています。それは、磨き上げられた知性の象徴であり、曇りなき目で自らの内実を見つめ、人格の練磨を図るべきことを表しています。その意味では、「明徳」をもって示される精神は、千葉淑徳高等女学校時代から一貫して本学園に流れているとも言えるのです。
体験から学ぶ
1年次4月から始まる「教育実習(幼稚園Ⅰ)」に象徴されるように、本学では「体験から学ぶ」という学習方法を大切にしています。具体的には、見学、実習、ボランティアなど、様々な形で保育現場に入り、保育を創る力を実践的に育てていきます。この「体験から学ぶ」学習では、単に体験を重ねるだけでなく、体験から得た気づきや考察をレポートにまとめたり、ともに学ぶ仲間と検討する“振り返り”がとても大切になります。
教室の枠を超える
子どもは現実の社会環境、自然環境の中で育ちます。子ども一人ひとりに応じた保育を創造していくには、保育の専門知識・技能だけでなく、人や社会、自然などとの多様なかかわりの体験から培われた、豊かな素養と人格を身に付けることが必要になります。本学では、2年次に様々なコースで実施する「わくわく体験研修」(海外のコースも含む)や「現代社会論」でのフィールドワークを始め、教室を飛び出して社会や自然の中で学ぶ多くの機会を設けています。
自ら学びを創る
子どもたちが一人ひとり異なる“育ち”をするように、保育者を目指す皆さんが学び、育つ過程も一様ではありません。それぞれ性格も、行動傾向も、資質も異なる皆さんは、目指す保育者像も、そこに至る学びの道筋、乗り越えるべき課題なども異なるものになります。入学後は担当教員のサポートのもと、目標や課題を見直しながら、自らの保育者への学びを創っていきます。
建学の精神である「明徳を天下に明らかにせんとする者は、先ず其の知を致せ」に基づき、本学で学んだ学生が、子どもの成長にかかわる者として、その生まれもった人間性や能力を輝かせることを教育の目的としています。
「保育創造学科」の「創造」には、子どもの発達や育ちは誰一人として同じではなく、その発達を促す営みとしての保育は、時代の変化や様々な環境、多様な子どもたちとの関係性の中でうまれる個々に唯一無二の創造的な営みであるとの意味が込められています。
そこで、本学では上記「教育の目的」を達成するための教育課程を編成し、以下の力を身に付けたと認められる者に学位を授与するものとして、ディプロマポリシーを定めています。
1.子どもを受容・理解し、その主体性を認め、子どもの成長にかかわる者として基礎的知識と技術を身に付けている。
2.自らの行動の理解に努め、探求し続ける力(好奇心、関心、意欲、態度)を身に付けている。
3.社会を理解することに努め、社会とつながるための基本的な力を身に付けている。
4.他者を理解し、信頼関係を築くことのできる力を身に付けている。
現実の子どもとのかかわりは、一定の理論や知識・技術を背景に持ちながら、あるねらいをもって展開することになります。その際、子どもとのかかわりは、個々の子どもとの唯一無二のかかわりであり、かかわりのあり方がその子の育ちに影響を与えることになります。したがって、保育を学ぶ者は、専門的な知識の習得に努めながらも、身体を通して保育の実践に触れ、子どもののかかわり方を問い続ける体験を重ねることが不可欠です。また、子どもとのかかわり方を問うことは、自らのあり様を問うことであり、自らのあり様を問う学びになります。本学は、「体験から学ぶ」ことを教育課程の基本的な考え方とし、学生たちにディプロマポリシーを達成させるべく、教育課程を次のような考え方(カリキュラムポリシー)に基づいて編成しています。
1.身体を通して保育に触れ、そこから子どもを理解することを学ぶ。
2.育ちを促すための基礎的な知識・技能を確実に身に付ける。
3.保育の学びを通して自らのあり様を問う。
4.保育の環境としての現代社会のあり様についての理解を深める。
5.保育実践等の体験を振り返る中で、他者の理解を深め、協働する方法を身に付ける。
以上の学びを営むためには、人間に対する興味を持てること、他者(子どもも含めた)とのかかわりを楽しめること、その中で生じる自らへの問いを素直に受け止められることが必要です。そこで、本学はアドミッションポリシーを定め、入学者として以下の者を求めます。
1.「人がすき」と素直に思える人
2.自分の気づきを大切にし、そこから学び始められる人
3.自分と違う見方や考え方を面白いと思える人