樹木NEWS-229:ごまだらかみきり
今年も、ごまだらかみきりが、森の園舎のシンボルツリー:モミバスズカケノキに見られるようになりました。
昨年の様子は・とある日の遊び04をご覧ください。
持ちやすい手ごろな大きさ、長い触覚に大きなアゴ、白と黒のはっきりとした模様に、硬い体の甲虫。
子どもにとって、魅力的な存在です。
虫に慣れていない子からみれば、白と黒とその形がやや怖い存在。
しかし、虫に慣れている子にとっては追いかけてでも捕まえたいカミキリムシ。
こんなところでも、虫を介した子ども同士のかかわり合いが見られています。
このような子どもの姿が見られるのも、昆虫が身近にいる園の魅力のひとつだなぁと思っています。
さて、
最近は、外来種のツヤハダゴマダラカミキリが問題視されているそうです。
(ゴマダラカミキリは在来種です。)
その見分けは、背中の胸に白い紋があるかどうかが分かりやすい様です。
→環境省が出した「ツヤハダゴマダラカミキリの発生状況に関する注意喚起について」を文化庁HPに掲載していたのでリンクを残します。
外来種や在来種と聞くと、外来種が悪くて在来種は良いというような感じに捉えられますが、そう単純な話ではないところが難しいですね。
これらの話を調べていくとたどり着くのは、だいたい「生物多様性」なのですが、外来種問題は、そんなに単純ではないみたいです。
虫は、空を飛ぶことができますが、外来種が入ってくるには距離がありすぎますから「流通・交通の変化」という話題にも行きつきます。
人々の暮らしの変化の結果、動植物の移動が発生し起こっているということなんですよね。
(コンテナに紛れ込んできたヒアリ騒動も同じですね)
ただ、四つ葉のクローバーで有名なシロツメクサは、もともとはヨーロッパ原産の外来種。「帰化」という形で自生しています。
タンポポも、二ホンタンポポ(在来種)とセイヨウタンポポ(外来種)がありますが、よく見かけるのはセイヨウタンポポばかりです。
何があたりまえの姿なのか、もはや分からないほど流通の変化は動植物の生息分布も変えているということだと思います。
また反対に、アメリカでは、いままでアメリカにいなかったオオスズメバチが侵入しここ数年で大きく繁殖して問題になっているそうです。
小笠原諸島は、そんな生き物の往来がなく独自の進化を遂げた固有種の生態系の価値から、世界自然遺産に登録されています。
在来種と外来種と固有種。
人の反映の歴史や動植物の進化の多様性など、「ものを見る視点をかえて見ることも大切だよ」と、考えるきっかけを与えてくれているようにも感じます。
これは在来種かな?外来種かな?
虫探しのその先に、そんな虫の見方があっても良いのかもしれませんね。
幼稚園では、これらの話は少し難しいので、
「あー、いたよー」「こっちにもいるー」「やだー、こわい」「つかまえてあげるよ」
なんて、わいわい遊んでいるのが微笑ましいんですけどね。
カミキリを捕まえた体験をいつか思い出した時に、これら外来種や生物多様性の話になるんでしょうか?
”幼児期に虫探しをした楽しい経験があるからこそ、大人になってもその虫がいる環境を守ろうとする。”
こんな考え方もあるのかなぁと、大人になって思ったりもします。
樹木さんの独り言でした。
明徳学園は「自然に対する感動や不思議」を感じられるような保育を心がけています。